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日本版マイノリティリポート「楽器所持者は将来著作権侵害の可能性」

Post by
tomo
Time
2007-02-01 06:35:09+09:00
Category
Review

レストランのピアノ演奏でJASRAC管理楽曲の著作権を侵害しているとしてJASRACから演奏差し止めの仮処分申請された和歌山県内のレストラン「デサフィナード」が、JASRAC側がネットを通じていつでも演奏曲を確認可能となるようにネット中継し、実際には専らクラシックやオリジナル曲を演奏していることを示したものの、2007-01-30 大阪地裁にて田中俊次裁判長は「将来的にも著作権侵害行為を続ける恐れがある」として演奏差し止めやピアノ撤去、損害金約190万円の支払いなどを命じる判決を言い渡したとのこと。 因みに、ネット中継は2005年4月に「演奏内容を確認するすべがない」と演奏の差し止めが決定されたのを受けてのもの。 この中継によってJASRAC側は管理楽曲が演奏されていないか随時確認可能になったにも拘らず、将来に渡り著作権侵害が皆無であることが証明されないから楽器は撤去って…。 無実の証明が出来なければ著作権侵害と見なされる、というこの推定有罪ロジックが恐ろしい。

この仕組みが通ってしまうと、公共の場におかれた楽器はいずれも「いつ何時、著作権侵害行為に利用されないとも限らない」として、たとえその演奏状況を毎日毎時記録し、ネット中継してJASRACに閲覧させようが、ともかく楽器は撤去しなければならなくなる。 また、こういう裁判が繰り返されると「JASRAC管理楽曲が演奏されなかった証拠がない」として著作権侵害が司法の場で『立証』されてしまう判例として定着し、オリジナル曲を発表しただけで賠償金を取られる社会になりかねない。 実際、この裁判を通じてJASRAC側からの「オリジナルと称している曲もJASRAC管理楽曲に似ているから著作権侵害」とのコメントもあった。 ポピュラー楽曲の場合楽曲構造はJASRAC管理楽曲に限らず、(たとえば、ブルースに分類されるタイプの楽曲はハーモニープログレッションがどれも殆ど同じというように)類似していることが大半なので、既存ジャンルに収まる楽曲はたとえオリジナルでも日本ではJASRAC管理楽曲にしない限り公表できない状況になりかねない。

また、この裁判で重要なことは、演奏状況をJASRAC側が常時確認可能な、スターリニズムも真っ青の衆人環視システムを整備したにも拘らず、「将来、違法行為が行われるかも知れない」という違法行為の『可能性』を根拠として楽器の撤去が命じられた点。 つまり、その楽器を用いて何が行われているかを常時監視させるだけではまだ不足で、将来に渡る可能性について監視される側が立証しない限り、楽器は違法行為に利用されかねない有害物と判断されたのだ。

胸をはってオリジナル曲を公表したければJASRACに管理させろ、管理させない限り「将来著作権侵害するかも知れない」危険な存在だから楽器を取り上げる、という美しい国、ニッポン。 それなんて中華人民共和国?って感じだ。 老後を待たず、西側の国に移住することにしたい。

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