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地獄でなぜ悪い

Post by
tomo
Time
2013-09-29 21:34:18+09:00
Category
Review

安易にエログロに向かう作風の監督作は滅多に観ないのだが、予告編が面白そうだったので観た。

登場人物の描き分けも分かりやすく筋の運びもテンポ良く、中だるみも無く最後までノンストップで進んでいくのはさすが職人技といった感じ。 何よりも退屈しないのが良いが、しかしやっぱり死体描写などの強い刺激に頼り過ぎてる感はある。

加えて問題なのはやっぱり既視感か。 創作側の人が現実のヤクザの抗争に巻き込まれて世界観のズレが生じる類は三谷幸喜作品でも観たことがあるし、リアルファイトやリアル犯罪を創作に取り込むことで真実味が出るんじゃないか路線とか、本編が劇中劇になっていくメタ構造とかも割と何作も観たことがある。 刺激が強いけれど先が読めてしまう感じ。

この映画は映画愛の率直な表現、映画賛歌なんだろうが、その方向性はちょっと安易かな、とも。 「演技よりも生の抗争を撮った方がリアルで迫力がある」という主人公達の素人考えがあまり否定されてないのが気になる。 一応そういう発想にのめり込んでしまったが為の身の破滅はあるにはあるが、結局撮り終えてるし。 そんなやり方では碌なことにならないストーリーにはなっているものの、碌な作品は出来ないという風にはなっていない。

永遠に刻まれる映画を撮れたら死んでも良いと豪語する主人公が映画の神様に見初められつつ最後に生き残ってしまっているが、結局それ程のものは撮れちゃいなかったと言いたいのか、そもそも生き残るプロット自体が死に際の妄想に過ぎないのか、どうとでも採れる作りになってはいる。 最後にカットがかかって「フレームの外側にある筈の現実」をチラリと見せるのも一見映画愛だが、そういう逃げを用意しつつ主人公の映画愛を思いっきり肯定しているし。 なんかその辺の中途半端さが気になって仕方ない。

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