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Thermae Romae

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tomo
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2012-05-01 10:22:44+09:00
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Review

基本的には面白い。 フジテレビが関与する映画にありがちなTVバラエティ的はっちゃけがかなり抑えられていて真面目に作られておりじっくり楽しめる。 主要ローマ人役を日本人俳優が演じるのも、下手にMr. Bater的な異人種強調メイクなどをしてしまうこと無くそのまま演じる方針も成功している。 日本人のディレクションでイタリア人が演じて日本語に吹き替えてコメディとして成立させるのは相当に無理があるだろうし。 イタリアで撮影されたローマ市内の屋外のシーンと日本で撮影されたそれ以外のローマのシーンの色合い、空気感の整合性も見事なもの。

しかし、作品を大きくぶち壊す難点も。 それはオリジナルキャラとして設定されたヒロイン。 勿論、原作と違うからダメだなんて話ではない。 ましてや、演者がダメだとか言うつもりなぞ微塵もない。 問題はもっと別の処にあるのだ。

ぶっちゃけ、あのヒロインの万能っぷりはいくらなんでもないだろう、と。 徹夜でちょっと独学したからってラテン語がペラペラになるとか。 それも、微妙な感情の機微までよどみなく伝え合える程に身につけるとか。

しかも、ルシウスと数回遭遇しただけの断片的な情報からタイムスリップの事実、ルシウスが居た時代の特定まであっさりとやってのけて、しかも現代の古代ローマ史をルシウスに教えてしまうなんて。 それは両方の世界を俯瞰することの出来る視聴者の視点で見えてくる事。 登場人物はそういった事情を全く把握出来きず、不条理な状況下で様々なズレや勘違いを招くという巻き込まれ型が原作の面白さの根幹部分なのに、万能ヒロインが全てを把握して意図的に歴史改変阻止に動きだしたらもう世界観は一挙に粉砕されてしまい、ただの問題解決型のタイムスリップものになってしまう。 もうそこには笑いも何も残らない。 ハクション大魔王を死別悲恋ものに変える位の台無しっぷり。 せめて、このヒロインも実態を把握出来ぬ巻き込まれ型の設定で「図らずも結果的に」歴史改変阻止やタイムパラドックス回避解決に寄与する形にすることだって出来ただろうに…。

それにこのヒロイン、いざとなれば実家を頼る逃げ道付で自分探しゴッコをしていただけの半分プーなのに、生死を賭けるルシウスに説教するんだから。 片言ラテン語での自己実現説法。 「夢は諦めちゃいけないんだからッ!!」的な、命を賭してもいない人に言われても空虚な事この上無い説法。 一見何も出来ないドジッ娘や地味ッ娘が感情を吐露すると周囲の中年男性諸氏が感銘を受け、全てを成功に導いてしまうという、よくある邦画的、半端女の自己実現マジック。 実写版キューティハニーに於けるお気楽お洒落OL描写にも似た「こうしとけば女子達は共感するんだろ?」的な興醒め感。

それさえ無ければ傑作だったかも。

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tomo
Commented Time
2013-03-12 06:09:00+09:00

映画「テルマエ・ロマエ」の興行収入58億円! 作者には100万円だけ…って凄い。 「出版社に勝手に金額を決められていた」っていうのも凄い。

原作からかけ離れた駄作になりさがるのを承知の上でもハリウッドに映像化権をライセンスした方が儲かりそう。 ドラゴンボールの様に。

Notes